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文化住宅の売却ガイド

入居者付きのまま文化住宅を売る方法

2階建ての古い連棟式アパートと前面道路

「入居者さんがいる限り売れない」と思い込んでいる大家さんは少なくありません。実際には、入居者がお住まいのまま建物を売ること(オーナーチェンジ)は法律で想定された普通の取引です。このページでは、文化住宅を入居者付きで売るときの流れと、敷金・家賃の精算、準備する書類を順番に説明します。

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最終更新日:2026年10月10日

まず結論から

  • 入居者がいても売却できます貸主の立場は買主に移ります(民法605条の2)。入居者の方と契約を結び直す必要はありません。
  • 敷金を返す義務も買主に移ります預かっている敷金は、売買代金から差し引いて精算するのが一般的です。
  • 家賃の一覧がなくても大丈夫通帳の入金記録や手元の契約書から、部屋ごとの状況を一緒に整理します。

お問い合わせの前に知っておきたい3点

入居者への通知

売る前に入居者の方の同意は要りません。引渡しの後に、売主様と当社の連名で「大家が変わったこと」と家賃の振込先をお知らせします。

敷金の精算

敷金を返す義務は買主の当社に移ります。預かっている敷金の合計は、売買代金から差し引いて精算するのが一般的です。

用意する資料

固定資産税の納税通知書、部屋ごとの家賃がわかるもの(通帳でも可)、手元にある賃貸借契約書。そろっていなくても相談できます。

入居者がいても売却はできる

建物を貸している状態で所有者が変わっても、入居者の方は今までどおり住み続けられます。建物の賃貸借は、入居者が建物の引渡しを受けていれば、新しい所有者にも主張できる(対抗できる)と借地借家法31条で定められているからです。

そして2020年4月に施行された改正民法605条の2により、こうした賃貸借がある不動産が売られたときは、貸主の立場(賃貸人の地位)は原則として買主に移ることが明文化されました。入居者の方と新しく契約を結び直す必要はなく、家賃の額や契約期間などの条件もそのまま引き継がれます。

つまり、文化住宅を売るために、先に入居者の方に退去してもらう必要はありません。退去を求めるには借地借家法の「正当事由」が必要で、時間も費用もかかります(詳しくは立ち退きと立退料の基礎知識)。入居者付きのまま売れば、その手間とリスクは買主が引き受け、その分が価格に反映されます。

ポイント

入居者付きで売る=入居者の方にとっては「大家さんが変わるだけ」です。家賃の振込先が変わる以外、暮らしは変わりません。

敷金・保証金は誰が返すのか

ソファで担当者と話す高齢のご夫婦

売却で一番誤解が多いのが敷金です。民法605条の2第4項により、貸主の立場が買主に移ると、入居者に敷金を返す義務も買主が引き継ぎます。将来その入居者が退去したとき、敷金を返すのは買主です。

そのため実務では、売主が預かっている敷金の合計額を、売買代金から差し引いて精算するのが一般的です。たとえば売買代金が1,500万円で、預かっている敷金が合計40万円なら、売主が受け取るのは1,460万円(ほかの精算を除く)という形です。

関西の古い文化住宅では、「敷金」ではなく「保証金」として預かり、退去時に一定額を差し引く「敷引き」の特約が付いていることがよくあります。敷引き後の金額を返す約束なら、引き継ぐ金額も敷引き後の金額で考えるのが通常です。契約書の文言で扱いが変わるので、契約書がある部屋はコピーを用意してください。

入居者に家賃の滞納がある場合、退去時に敷金から滞納分が差し引かれます。判例では、貸主が変わる前の滞納分は、引継ぎの時点で敷金から当然に差し引かれ、残りが買主に引き継がれるとされています。

滞納の状況は正直にお知らせください。精算の方法を契約書に書き込みます。

レントロール(家賃の一覧)がなくても大丈夫

部屋ごとの家賃や敷金がわからなくても構いません。通帳の入金記録や手元の契約書から一緒に整理します。

受付 10:00〜19:00(水・日定休)。当社は立ち退きの交渉を代理しません。入居者の方とのお約束は、そのまま買主が引き継ぎます。

レントロール(家賃の一覧表)を用意する

買主が最初に見るのが、部屋ごとの賃貸の状況をまとめた一覧表(レントロール)です。管理会社に任せている場合は管理会社から取り寄せられます。自主管理で一覧がない場合も心配いりません。

項目内容わからないとき
部屋番号1階1号室、2階3号室など郵便受けや表札で確認します
入居者名・入居日契約者の名前、住み始めた時期おおよその年でかまいません
家賃・共益費毎月受け取っている金額通帳の入金記録から拾います
敷金・保証金預かっている金額と敷引きの特約契約書がなければ、本人に確認する方法を一緒に考えます
滞納の有無何か月分たまっているか通帳の入金の抜けで確認します
空室空いている部屋と、いつから空いているか現地で確認します

契約書がない部屋、口約束で家賃を下げている部屋、入居者が亡くなって家族が荷物を残している部屋など、文化住宅では「書類どおりでない」ことがよくあります。わかっていることをそのまま伝えていただければ、買取の条件に織り込みます。

家賃・固定資産税の精算と、入居者への通知

引渡しの日を境に、家賃を受け取る人が売主から買主に変わります。その月の家賃は日割りで精算するのが一般的です。固定資産税・都市計画税も、1年分を引渡し日で日割りし、買主の負担分を売買代金とあわせて受け取ります。

日割りの起算日は1月1日とする場合と4月1日とする場合があり、関西では4月1日とする慣行も見られます。どちらにするかは契約で決めます。

引渡しが終わったら、入居者の方に「所有者が変わったこと」「家賃の新しい振込先」をお知らせします。売主と買主の連名の書面にするのが丁寧で、入居者の方も安心します。管理会社に任せている場合は、管理委託契約の解約の予告期間(多くは1〜3か月)を確認しておきましょう。

火災保険は売主が自分で解約し、残りの期間に応じた返戻金を受け取ります。電気・水道の共用部分の名義変更も必要です。こうした細かな手続きの順番も、当社が一覧にしてお渡しします。

ご家族に知られずに相談できます

お電話の時間帯や郵送物の有無はご希望に合わせます。物件を見に行く際も、近所に売却とわかる形ではうかがいません。

受付 10:00〜19:00(水・日定休)。当社は立ち退きの交渉を代理しません。入居者の方とのお約束は、そのまま買主が引き継ぎます。

仲介で売るか、買取で売るか

ご夫婦に資料を見せながら説明する担当者

入居者付きの文化住宅を仲介で売り出すと、買主は収益物件を探している投資家が中心になります。ところが木造の住宅の法定耐用年数は22年で、築50年を超える文化住宅には金融機関の融資がつきにくく、現金で買える人に限られます。家賃が安く、空室もある建物は、売り出してから決まるまで時間がかかりがちです。

買取は、不動産会社が自ら買主になる方法です。価格は仲介で一般の買主が見つかった場合より低めになることが多い一方、売れるかどうかの不安がなく、引渡しの時期を決められ、建物の不具合の責任(契約不適合責任)を負わない条件にできるといった利点があります。

仲介当社の買取
買主一般の投資家・個人株式会社GEEZ
売れるまでの期間数か月〜1年以上のことも条件が合えば数週間〜
仲介手数料かかるかからない
建物の不具合の責任負う場合がある負わない条件にできる
入居者の扱い買主が引き継ぐ当社が引き継ぐ

売却を決めたら、しない方がいいこと

入居者付きで売ると決めたら、売買が終わるまでの間に、次のことは控えてください。後で精算が複雑になったり、価格に影響したりします。

  • 新しい入居者との契約:普通の賃貸借を新しく結ぶと、その方の権利も買主が引き継ぐことになり、条件の調整が必要になります。
  • 家賃の大幅な変更や、口約束の特約:書面のない約束は引継ぎの際にトラブルの原因になります。
  • 大がかりな修繕・リフォーム:費用ほど価格は上がりません。緊急の安全対策だけにとどめます。
  • 入居者への退去のお願い:入居者付きで売るなら不要です。かえって入居者の方を不安にさせてしまいます。

迷うことがあれば、手を打つ前にご相談ください。売買の契約の前であれば、条件の中で調整できることがほとんどです。

当社がすること・しないこと

当社は入居者付きのまま文化住宅を買い取り、賃貸人の立場と敷金の返還義務をそのまま引き継ぎます。引き継いだ後、建物をどう活用するか(そのまま貸し続けるか、将来建て替えるか)は、買主である当社が自らの責任で判断します。

当社は宅地建物取引業者であり、弁護士ではありません。入居者の方との立ち退きの交渉を、売主様の代わりに行うことはしません(報酬を得て他人の法律事務を扱うことは弁護士法72条で禁止されています)。法的な判断が必要な場合は弁護士にご相談ください。

当社はUR賃貸住宅の取扱店です。入居者の方が住み替え先を探す場合に、UR賃貸住宅の探し方や相談先をご案内することはできます(入居者の方との交渉や、退去の代理を行うものではありません)。

エリア別のデータで相場を確かめる

当サイトでは、府内67エリアごとに、木造の共同住宅(築1985年以前)の取引価格、賃貸用の空き家、駅の乗降客数などをまとめています。取引の多いエリアは次のとおりです。

すべてのエリアを見る

よくあるご質問

入居者に売却することを先に伝えないといけませんか?
法律上、売却の前に入居者の同意を得る必要はありません。ただし、内覧や建物の確認で室内を見せてもらう場合は事前にお願いが必要です。当社は外観と空室、共用部分の確認を中心に査定し、室内の確認が必要な場合も入居者の方のご都合に配慮します。
敷金の額がわかりません。どうすればいいですか?
契約書や、入居時の領収書の控え、通帳の記録から確認します。どうしてもわからない場合は、入居者の方にお聞きする方法や、契約書に金額の確認方法を定めておく方法などを一緒に考えます。
入居者が高齢で、保証人もいません。売れますか?
売れます。賃貸借はそのまま当社が引き継ぎます。入居者の方が今後の住まいに不安をお持ちの場合は、当社がUR賃貸住宅の取扱店として、住み替え先の探し方や相談先をご案内できます(退去の交渉や代理を行うものではありません)。
家賃を滞納している入居者がいます。
滞納があっても買取はできます。滞納分の家賃をどちらが受け取るか、敷金とどう精算するかを契約書で決めます。滞納の月数がわかる資料(通帳など)をご用意ください。

このページの監修

監修者 宅地建物取引士 シュース健人

シュース健人宅地建物取引士

宅地建物取引士 大阪府 第118737号/株式会社GEEZ 所属

株式会社GEEZ所属。大阪・関西の相続、空き家、再建築不可、借地、工場・倉庫、長屋・文化住宅といった売却の難しい不動産の相談を担当しています。

本ページの数値は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」、総務省「住宅・土地統計調査」、経済産業省「工業統計調査」、国土地理院、OpenStreetMap の公開データを当社が集計したものです。価格は物件ごとの事情で変わります。実際の金額は現地確認のうえでご提示します。

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