文化住宅の売却ガイド
相続した文化住宅を売るときの手順

文化住宅のご相談は、相続をきっかけにしたものがよくあるケースです。親が自主管理していたため契約書の場所がわからない、相続人が兄弟で何人もいる、遠方に住んでいて現地に行けない。相続した文化住宅を売るまでの流れと、つまずきやすい点を順番に説明します。
- 宅建士が監修
- 入居者付きのまま買取
- 相談・査定は無料
最終更新日:2026年10月10日
まず結論から
- 相続登記は義務になりました2024年4月から、相続を知った日から3年以内の登記が必要です。
- 共有なら全員の同意が要ります遠方の相続人の方とも、郵送やオンラインで進められます。
- 賃貸中なら空き家の特例は原則使えません賃貸していた文化住宅には、空き家の3,000万円特別控除は原則として適用されません。
お問い合わせの前に知っておきたい3点
入居者への通知
売る前に入居者の方の同意は要りません。引渡しの後に、売主様と当社の連名で「大家が変わったこと」と家賃の振込先をお知らせします。
敷金の精算
敷金を返す義務は買主の当社に移ります。預かっている敷金の合計は、売買代金から差し引いて精算するのが一般的です。
用意する資料
固定資産税の納税通知書、部屋ごとの家賃がわかるもの(通帳でも可)、手元にある賃貸借契約書。そろっていなくても相談できます。
相続したら、まず入居者の家賃と管理を引き継ぐ
貸主が亡くなっても、入居者との賃貸借は終わりません。貸主の立場は相続人に引き継がれ、家賃を受け取る権利も、建物を修繕する義務も、敷金を返す義務も相続人のものになります。
まず、家賃がどの口座に振り込まれているかを確認してください。亡くなった方の口座は、金融機関に死亡を伝えると凍結されます。入居者の方には、新しい振込先をお知らせする必要があります。
遺産分割が終わるまでの家賃は、最高裁の判例(平成17年9月8日)により、各相続人が法定相続分に応じて受け取るものとされています。後で遺産分割の内容が決まっても、それまでの家賃の帰属はさかのぼって変わりません。相続人のうち誰かがまとめて受け取る場合は、記録を残しておきましょう。
相続登記は義務になった

2024年4月1日から、相続登記(名義を相続人に変える登記)が義務になりました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記をしなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。2024年4月より前に起きた相続も対象で、その場合は2027年3月31日までが期限です。
遺産分割がまとまらない場合は、自分が相続人であることを法務局に申し出る「相続人申告登記」で、ひとまず義務を果たすこともできます。
売却するには、最終的に相続人の名義に変える必要があります。ただし、相続登記が済んでいなくても査定や相談はできますし、売買の契約と相続登記を並行して進めることもできます。司法書士の手配もお手伝いします。
入居者付きのまま、無料で査定します
文化住宅を、入居者の方がお住まいのまま査定します。立ち退きを済ませてからでなくて大丈夫です。
受付 10:00〜19:00(水・日定休)。当社は立ち退きの交渉を代理しません。入居者の方とのお約束は、そのまま買主が引き継ぎます。
相続人が複数いるとき ― 共有と売却
遺産分割の前、または分割で複数の人が持分を持つことにした場合、文化住宅は相続人の共有になります。共有の不動産を売るには、共有者全員の同意が必要です。誰か一人でも反対すると、建物全体を売ることはできません。
一方、共有物の管理にあたる事項(管理会社との契約など)は、持分の過半数で決められます(民法252条)。ただし、新しく部屋を貸す契約のうち過半数で決められるのは、期間が3年を超えない建物の賃貸借(同条4項)に限られます。
文化住宅で一般的な、更新のある普通の賃貸借は、借地借家法の法定更新があって3年以内に終わる保証がないため、新しく結ぶには原則として共有者全員の同意が必要と考えられています(3年以内の定期借家や一時使用目的のものは別です)。個別の判断は弁護士や司法書士にご確認ください。
相続人の中に連絡がとれない人がいる場合、裁判所の手続きで、その人の持分を取得したり、譲渡したりできる制度も2023年から使えるようになっています。相続人に認知症の方がいる場合は、成年後見人の選任が必要になることがあります。こうした手続きは司法書士や弁護士と連携して進めます。
よく選ばれるのは、建物を売って代金を分ける方法(換価分割)です。誰か一人が建物を引き継いでほかの相続人にお金を払う方法(代償分割)もありますが、古い文化住宅を引き継ぎたいという人はあまりいません。
売却の税金 ― 取得費と3,000万円控除の注意
相続した文化住宅を売って利益が出ると、譲渡所得として所得税・住民税がかかります。利益は「売った金額 −(取得費+売るための費用)」で計算します。
取得費は、亡くなった方が買った(建てた)ときの金額を引き継ぎます。昭和の建物で当時の金額がわからない場合は、売った金額の5%を取得費とすることができます。賃貸用の建物の取得費は、建ててからの減価償却の分を差し引いた金額になります。
所有期間も亡くなった方から引き継ぐため、相続した文化住宅は、ほとんどの場合「長期譲渡所得」(所有期間5年超)になり、税率は所得税・住民税などあわせて20.315%です。相続税を払った場合は、相続から3年10か月以内に売ると、払った相続税の一部を取得費に加えられる特例があります。
「相続した空き家を売ると3,000万円まで控除される」という特例は、亡くなった方が一人で住んでいた家(1981年5月31日以前の建築など)が対象です。入居者に貸していた文化住宅は、原則としてこの特例の対象になりません。個別の判断は税務署や税理士にご確認ください。
相続した後に受け取った家賃は、相続人の不動産所得として確定申告が必要です。売却の年も、売るまでの家賃は申告の対象になります。
レントロール(家賃の一覧)がなくても大丈夫
部屋ごとの家賃や敷金がわからなくても構いません。通帳の入金記録や手元の契約書から一緒に整理します。
受付 10:00〜19:00(水・日定休)。当社は立ち退きの交渉を代理しません。入居者の方とのお約束は、そのまま買主が引き継ぎます。
親が存命で、判断が難しくなっている場合

所有者であるお父様・お母様がご存命で、認知症などで判断する力が十分でない場合、ご家族が代わりに売ることはできません。売買の契約には、所有者ご本人の意思の確認が必要だからです。
この場合、家庭裁判所に成年後見人を選んでもらい、後見人が本人のために売却を行うことになります。後見人の選任には数か月かかることがあり、売却の理由や価格の妥当性も説明が必要です。
まだ判断する力があるうちに、ご本人の意思で売却を決めておくことや、家族信託などの準備を検討する方も増えています。具体的な手続きは司法書士や弁護士にご相談ください。
遠方に住んでいても売れます
相続人の方が大阪から離れて住んでいることは珍しくありません。当社では、現地の確認、役所での調査、入居者の状況の確認を当社が行い、ご相談や書類のやり取りは電話・郵送・オンラインで進められます。契約や代金の受け取りも、必要に応じて書類のやり取りで行うことができます。
兄弟3人で相続した築60年の文化住宅
母が自主管理していたため、契約書がどこにあるかわからず、家賃は手渡しの部屋もある。兄弟は東京と名古屋に住んでいる、というご相談。現地と通帳から賃貸の状況を整理し、相続人全員の同意をいただいたうえで、入居者付きのまま買い取る形をご提案しています。
持ち続ける場合の負担も考えておく
相続した文化住宅を売らずに持ち続けることもできます。その場合、家賃収入と引き換えに、次のような負担を相続人が引き受けることになります。
- 毎年の固定資産税・都市計画税
- 雨漏りや設備の故障の修繕、外階段や外壁の安全の確保
- 入居者からの連絡への対応、家賃の管理、退去時の精算
- 毎年の不動産所得の確定申告
- 共有の場合は、修繕や契約のたびに共有者の間での話し合い
相続人が複数で共有のまま持ち続けると、次の相続でさらに共有者が増え、売りたくても全員の同意がとれない状態になりがちです。持ち続けるか売るかは、相続人の皆さんが元気で話し合えるうちに決めておくことをおすすめします。
エリア別のデータで相場を確かめる
当サイトでは、府内67エリアごとに、木造の共同住宅(築1985年以前)の取引価格、賃貸用の空き家、駅の乗降客数などをまとめています。取引の多いエリアは次のとおりです。
東大阪市(72件)堺市堺区(64件)寝屋川市(58件)大阪市西成区(54件)豊中市(48件)門真市(45件)守口市(36件)大阪市東住吉区(32件)大阪市住吉区(30件)枚方市(28件)堺市西区(25件)大阪市平野区(22件)
よくあるご質問
相続登記がまだですが、相談できますか?
兄弟の一人が売却に反対しています。
親の家計簿しか資料がありません。
相続した文化住宅に3,000万円の特別控除は使えますか?
相続した家賃の確定申告は誰がしますか?
このページの監修

シュース健人宅地建物取引士
宅地建物取引士 大阪府 第118737号/株式会社GEEZ 所属
株式会社GEEZ所属。大阪・関西の相続、空き家、再建築不可、借地、工場・倉庫、長屋・文化住宅といった売却の難しい不動産の相談を担当しています。
本ページの数値は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」、総務省「住宅・土地統計調査」、経済産業省「工業統計調査」、国土地理院、OpenStreetMap の公開データを当社が集計したものです。価格は物件ごとの事情で変わります。実際の金額は現地確認のうえでご提示します。